厳律シトー修道会(通称:トラピスト)とは
厳律シトー修道会は、ローマ・カトリック教会に属し、全面的に観想に向けられた隠世共住修道院生活の会です。
厳律シトー修道会(通称:トラピスト)とは
厳律シトー修道会は、ローマ・カトリック教会に属し、全面的に観想に向けられた隠世共住修道院生活の会です。
隠世共住修道院生活の伝統とシトー修道会
隠世共住修道院生活の歴史は長く、その基礎は新約聖書にまで遡り、イエスの模範と教えに基づいています。3~4世紀には、聖アントニオ、聖パコミオ、聖バジリオなど多くの傑出した修道者が現れました。6世紀になって、イタリアの聖ベネディクト(480-547)は隠世共住修道院生活の伝統に基づきながら、自分の修道者のために修道規律を書きました。これが聖ベネディクトの戒律です。これは全ヨーロッパの修道生活とキリスト者の生活の規範となりました。
シトー会は1098年、聖ロベルトと同志たちが聖ベネディクトの戒律をより忠実に守り従うために、繁栄するベネディクト会を後に、フランスのシトーの森に退いた時に興りました。そのカリスマはクレルヴォーの聖ベルナルド(1090-1153)の影響の下に中世を通じて全ヨーロッパに広がり、シトー会は当時の教会の中で霊性と文化の中心的な役割を果たしました。
1662年、ド・ランセ(1626-1700)はフランスのトラップ修道院の院長に就任すると、次第に緩んできたシトー会の修道精神を再び厳格に立て直そうと、改革運動を始めました。これがトラピストとして知られる厳律シトー修道会です。
2023年現在、世界には男子修道院87、女子修道院69が存在しています。各修道院は自治独立ですが、全世界の修道共同体は一人の男子総長のもとに、母院子院制によって一つの修道家族を形成しています。ちなみに、本修道会のすべての修道院はおとめマリアに奉献されています。
厳律シトー会総長館(ローマ)
生活の目的
隠世共住修道院生活(モナスチカ生活)はカトリック教会の中で、神への絶えざる祈りと奉仕の使命を受けています。モナクス(修道士)とはラテン語の「ただひとつのもの(モノス)」から来ています。神だけに向かって生きる者の意味です。
聖ベネディクトは、キリスト者として徹底的に生きたいと望んで集まった人々に戒律を与えました。聖ベネディクトの戒律は福音の具体的な生き方を教え、神とキリストの体験へと導きます。戒律の根本精神はキリストの模範に倣う謙遜と従順であり、この戒律に従って世から離れ、共同生活・沈黙・祈り・霊的読書・労働などの諸価値を生きるのが厳律シトー会の生活です。つまり、キリストにより近く従うこと、より真実に、より深くキリスト者であることを求め、キリストの背丈に達するまで洗礼の恵みを開花させることです。こうして、キリストの贖いと救いを受け、神をたたえながら神の国を証しすることを目的としています。